音声には著作権があるのか疑問に思った事はないでしょうか?
自分の発した声が著作物として認められるのかどうかは音声の仕事をしている人にとって切実な問題ですし、知らず知らずのうちに著作権を侵害していたとしたら大問題です。
そこでこの記事では、音声の著作権についての概要をまとめたので参考にしてください。
※本記事は著作権を意識していただくための内容です。厳密な判断等について心配がある際には弁護士等への相談を強くお薦め致します。
目次
音声には著作権がある
結論としては音声には著作権があります。
例えば、音声の著作権者に許可を得ずに、以下のような行為をしたら著作権法違反です。
- イベントで声優の声を録音して配布した
- 公開されている音声作品をコピーしてSNSにアップロードした
- 朗読作品を公の場で再生した
- 音声データを加工して販売した
音声を生業にされている方は既に上記はご存知かもしれませんが、SNSや動画メディア等でコンテンツの公開を行うことを考える場合には、公開前に今一度、音声の著作権に侵害していないかなどチェックしてみてもいいかもしれません。
音声の著作権に関する重要なポイント
音声の著作権は存在するのは確かですが、実はやや複雑な部分もあります。
音声の著作権について重要なポイントをまとめたので、著作権法の基本的なところから詳しく見ていきましょう。
著作権は創作活動を守っている
日本では著作権法によって著作物の制作者の権利が守られています。
美術品や文芸品、音楽などの芸術活動だけでなく、商品として販売されているモノや情報商材などのデータにも著作権があります。
著作権は創作活動を守るために存在していて、作った人が自分のものだと主張できるのが特徴です。
音声を含む作品には著作権がある
音声はただの音だと言ってしまうと、著作物としての実体がないので著作権を主張できないのではないかと疑問に思うかもしれません。
しかし、映画やテレビ番組などの音声を含む作品には作品自体に著作権があります。
たとえば一般企業で声優さんが社員として給与をもらいながらが働いているときには、例え、自身が参加した作品であってもその企業のプロジェクトとして制作した作品であれば、勤め先の企業が著作権を持つのが一般的です。
個人が音声ファイルや音声テープを作成したときには、それ自体が作品になるので著作物として認められます。
朗読するテキストにも著作権がある
音声の著作権について注意が必要なのがテキストです。
小説を朗読したり、映画の台本を読み上げたりして音声の作品を制作をすることがあると思いますが、この際に問題なのがテキストにも著作権があることです。
古い作品で著作権が切れていれば自由に朗読して音声作品を制作できますが、著作権があるテキストを朗読する場合には注意が必要です。
著作権では複製が禁じられていますが、録音も複製の一つとされているため、テキストを朗読して録音すると複製となります。
その音声データをSNSで公開したり、イベントで使用したりすると著作権法違反になるということです。
私的利用の範囲では著作権の侵害にはならない場合が多い
音声でもテキストでも著作権の侵害になるのは、私的複製の範囲を越えてしまったときだけです。
著作権法では個人や家庭などの限られた範囲であれば、著作物の複製をしても構わないと定めています。
例えば、朗読の練習をするために小説の一部をコピーして自分で使ったのなら問題ありません。
好きな声優の音声を一部だけ切り出して複製し、スマホに保存して聞くのも大丈夫です。
しかし、知人と朗読会を開くために自分が持っている小説をコピーし知人に使わせたとしたら著作権侵害にあたる可能性がでできます。
お気に入りの音声コレクションを作った後、自分だけでなく他の人にも聞いてもらおうとSNSにアップロードした場合には違反となってしまいます。
このように私的利用かどうかによって著作権の侵害の大きな基準の一つになりますが、例え、私的利用であっても不特定多数の方が閲覧可能な状態で公開しまうのと侵害にあたる可能性が高いです。共有・シェアの時代になっているからこそ注意が必要です。
音声の仕事で著作権について注意すべきポイント
著作権は声優やナレーターなどのように、自分の声を活かす仕事をする際にも、音声を使用して作品の制作や配信などの仕事をする際にも留意することが重要です。
ここでは音声の仕事でトラブルが起こらないようにするために、シーンごとの注意点を紹介します。
音声の公開のとき
音声を公開するときには著作権に違反していないかどうかを今一度確認しましょう。
テキストと音声の両方の角度から、侵害のリスクがないかを確認するのが大切です。
ただし、著作権を保有している人から許可を得ていれば問題はありません。もし公開前に著作権の問題に気づいたら、まずは許可をもらえるかどうか連絡してみましょう。
もし他の音声が作品中に含まれているときには著作隣接権も考慮する必要があります。
音声の場合には公衆送信権や送信可能化権が問題になるリスクがあるからです。声の主ではなく、音声をDVDや動画などで販売・配信する権利を持っている業者が著作隣接権を持っていることがあります。
その場合、公開の方法によっては著作隣接権を持っている業者からも許可が必要になります。
音声を録音するとき
音声を録音しそれを使用するときには著作権が認められている音声が含まれないように注意しましょう。
たとえば録音するときにバックグラウンドであっても明確に内容のわかるナレーターの朗読音声が入っていたら許可を取らなければいけない可能性があります。
しかし、創作活動に関連しない音声の場合には著作権がないことが多く、ほぼ問題になることは無いようです。
街中で録音をしたときには周囲の人の声が入ってしまうことがありますが、その内容が判別可能だったとしても著作権が認められないのでそのまま公開可能です。
まとめ
音声の著作権は認められています。やや権利関係が複雑なので注意は必要ですが、音声の仕事使用をする際にはとても重要です。
テキストにも完成された作品にも著作権があり、私的利用の範囲内でなかったときに著作権侵害になるという2点が最も重要なポイントです。
著作権の問題は軽んじていると後々大きな問題に発展する事もあるので要注意です。
仕事とは関係がない人も音声に著作権があることを念頭に置いて、違反しないように自分だけで利用するようにしましょう。
※最後に、著作権への考え方や判断基準が心配な方は弁護士等への確認をし、最終的な判断をしてみてください。
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